昨日、久しぶりの人と会う。
母親の仕事の同僚のおばちゃん。
ざっと五年振り。
会った瞬間自動的に、機械的に笑顔。
正確には笑顔ではなく、顔を崩しただけ。
そんな自分に気付く。
おばちゃんも巧く懐かしい表情。
違う。
これは本当にぼくとの再会を喜んでいる表情だ。
目を細め、夕焼けを眺めているような。
全く自然ににじみ出ている。
人工物と自然物。
さらにぼくは、ありきたりな、当たり障りない会話。
おばちゃんはきっとぼくの表情の嘘を見抜いているはずだ。
何か自分が惨めになってきた。
『いや、これは大人のなせる技だ!歴戦の賜だ!』
などと懐疑的になるぼく。
もう一度見てみる。
やっぱりぼくは間違っている。
表情ひとつ変えなかった小学生の自分の方が素直でまともな気がする。
いつの間に、ぼくはこんなんになってしまったのか。
いつの間に、こんなのを覚えてしまったのか。
『あんな大人に成りたくない。』
とか言ってるくせに、自分がそんな大人になっている。
マニュアルに沿って沿って添い遂げる勢い。
あー嫌だ!と思い麦酒をあおる!あおる!あおる!
『かぁーっ!美味い!』
というリアクションもやっぱり嘘臭い。