人生一度は『田植え』がしたい。


今日は朝から公営の大井競馬に出陣。まったくスキモノです。
勝って東京に来る友人に五反田のヘルスを奢るぞ!と勝手に目標を決めつつ到着。


しかし、平日の昼間というのに、たくさんの人。まったくみんなスキモノやなあ。
早速、第1レースから意気込んで馬券を買うも、全然当たらず。
そのまんま2レースまで快音なし。これじゃあ臨海地区にお金を捨てに来ただけになってまうがな。
どんどんカチンとなって、暴走しそうな心を抑えつつ、3R。もう今日は難しすぎると、腹をくくり、まず初回の当たりを引こうと、倍率完全無視で、パドックでよく見えた馬を7頭ボックスで買う。
正直、これ外れたら帰ろうと、今日は駄目だろうと、思いつつ本場場へ。
そしたら来たのだ。人気馬を押しのけて、⑪番人気と⑦番人気が!
配当が馬連で46500円。普通なら絶対取れないのだ。


結果これのおかげで勝つことが出来た。友よヘルスにはちと足らんが、美味い酒を飲もうではないか。


でその当たりのあと、パドックで馬を見ていたら、トレンチコートに身を包んだ怪しげなオッサンに声をかけられた。
『たかり』かと思ったが、気さくな感じでそうではなかった。
しかし、そのオッサンの新聞を見て驚いた。
オッサンは油性の黒マジックで、戦前の教科書を塗るかのごとく、新聞を真っ黒にしていたのだ。馬名と印のところを。
残っているのはただ、2頭。
話を聞くと、競馬のプロらしい。ホンマの馬券生活者である。
こんなんと遭遇すると、天国か地獄か。オッサンに乗って儲かるか、ペースを乱されて大負けかのいずれかである。
オッサン曰く、『クズ馬ばかりで、大したのがいないからおのずと2頭とかになる。』
のだそうだ。しかしオッサン推奨馬はどれも人気薄。
どうせハッタリだろうと別の馬を買っていざレース。
やっぱり駄目だった。まったくいいところなくオッサン馬は惨敗。


それでも次のレース、オッサンの所へ行くと、またとんでもない馬を推奨してきた。
当たり障りない感じで交わしつつ、自分の馬券を買い、いざ大井7R。
そしたら来たのだオッサンの推奨の⑪番人気の②番が。馬連は11000円付けた。
千円単位で買うと行っていたので、レースが終わり飛んで帰ったら、喜色満面のオッサン。
『なあ来たやろう。』
「で幾ら取りました。」
オッサン『馬券はハズレた。』
うえーーーー。
しかし、調子が出てきたらしく、さらに喋り捲るオッサン。
すぐそこに関係者がいるのにも関わらず、
『ここは八百長競馬場!情報が流れとる!』と大声でまくし立てる始末。
極めつけは建物を指差して、
『兄ちゃん、あそこの5階に馬券士たちがおってな。その携帯に情報が入ってきて、それを奴らは買って大儲けしとるんや。』
話を詳しくまとめると、そいでオッサンはその馬券士連中にも友人がいて、お前も来たらええがなと誘われたけど、そんなん何も楽しくないと蹴ったのだという。
そいであるとき、馬券士たちが、一日で2000万儲けた日があって、その日は銀座のクラブに繰り出して、飲み明かし、あくる日店のお姉ちゃんを5人ぐらい引き連れて、熱海に行ったのだという。
高級旅館で贅の限りを尽くしたその馬券士は夜、お姉ちゃんを5人並べて四つん這いにさせ、片っ端からスライドしつつ、やっちゃったと言う。
で話だけならいいものの、絶好調のオッサンがパドックで、そのスライドしつつ腰をコンコンする様を演じたもんだから、面白すぎた。50過ぎたオッサンがである。
しかもポジション的にテレビに映るところであったので、映ってもうたかも。
それを馬券士は『田植え』と言ったという。
『人生一回は田植えしたいよな兄ちゃん。』
満面の笑みのオッサンありがとう。
結局、オッサンは最終まで全部外れて寂しそうに帰ってしまった。
オッサンそれは、カバキやがな。